認知症外来を受診するときのコツ
認知症外来を受診するときに、しておくと良い準備についてご説明します。
最近、認知症が連日テレビや新聞に取り上げられているため、認知症外来(のもわすれ外来)はどこの病院も予約でいっぱいになっています。
今回は、やっととれた予約を無駄にしないために、コツをお教えします。
まず、認知症外来を受診するときは、患者さんのことをよく知る方が一緒に来ることが望ましいです。
というのも、時々しか会わない方は、患者さんがどの程度生活に困っているかとか、どんな症状があるかというのが分かりません。
そして、特にアルツハイマー病の患者さんは取り繕いが大変上手です。
ですので、時々しか会わない方は、患者さんの本当の症状を見抜けず、つ
いつい軽く見積もってしまいがちです。
ですので、患者さんと一番長く接している方が一緒に来ていただけると大変参考になります。
次に、いつから、どんな症状が、どのように進行しているのかという、今までの症状の変化をまとめておくといいでしょう。
たとえば、
“3年前から薬の飲み間違えが増え始め、2年前から日付が分からなくなることが多くなってきた。昨年から少し前に出かけたこと自体を忘れることがあった。財布などをよくなくすこともあり、誰かにとられたという妄想もしばしばみられる。症状は徐々に進行している様だ。”
という具合です。
生活するうえで困っていることを伝えるのも大切です。
認知症というと、物忘れなどの中核症状(過去のブログ参照)に目が行きがちですが、周辺症状(過去のブログ参照)も大切な症状です。
特に、周辺症状は日常生活を大変困難にします。ですから、被害妄想や徘徊、昼夜逆転、暴言などの困った症状についてもしっかり伝えましょう。
他に治療している病気があるときは、かかっている病院から診療情報提供書(紹介状)をもらっておくと、大変役に立ちます。
もし、もらうことが難しければ、いままでどんな病気をしたか、現在治療している病気はあるか、どんな薬を飲んでいるかが分かると参考になります。
紹介状の有無にかかわらず、お薬手帳は持っていくと必ず役に立ちます。
認知症の検査では、ほとんどの場合で頭のMRI検査を行います。
MRIは、体内に金属があるとできないことがあります。また、殆どのペースメーカーがMRIに対応していません。磁石のついた特殊な入れ歯もMRIに対応していません。
かつて手術をされたことがある方は、体内にある機械や金属類がMRIに対応しているかあらかじめ手術した病院で確認すると良いでしょう。
認知症外来では、患者さんと付き添いの方は同じ診察室に入ることが多くあります。
もし、患者さん本人の前では話しにくいことがあれば、あらかじめ書いておいて診察前にスタッフに渡しておくのも方法です。
介護保険に必要な主治医意見書を、認知症外来を行っている病院で書いてもらうのであれば、その旨を伝えた方がよいでしょう。
主治医意見書に必要な事項をしっかり聞き取ることによって、実際より低く介護度が見積もられるのを防止できる可能性があります。
ちょっと大変ですが、こういった準備が後々役に立ちますよ。
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