認知症の原因② レビー小体型認知症
最近名前を耳にするようになったレビー小体型認知症。
認知症を起こす原因として2番目か3番目に多いとされています。
では、このレビー小体型認知症とはどんな病気なのでしょうか。
レビー小体型認知症の特徴は以下の通りです。
- 認知機能の変動(良い時と悪いときあり)
- 幻視(部屋の隅に子供、犬がいるなど)
- うつ症状 便秘・ひどい立ち眩み(自律神経症状)
- パーキンソン症状(手のふるえ、歩幅が小さくなる、体が動かしにくくなる)
たとえば、こんな患者さんが典型的です。
75歳の男性。
1年前から軽い物忘れがあった様子。
半年前から部屋の隅に子供がいるという幻視(幻覚)が出現。
また、調子のいい時と悪いときの差が激しく、良いときは正常に近いけれど、悪いときはぐったりしていることもある。
気分がすぐれないことも多く、最近は便秘気味。
以前に比べると表情が乏しく(仮面様顔貌)、歩き方もぎこちない感じになってきている。
認知症なので、認知機能も障害され、物忘れが出現します。
しかし、アルツハイマー病と比べて少し前のことを覚えておく能力の低下は軽い傾向にあります。
そのかわり、計算が苦手になったり、図形の模写(MMSEの五角形の模写)が難しくなる傾向が強くなります。
幻視(幻覚)について、全く何もないところに物が見えるというよりは、暗くてよく見えないところにある影などが人や動物に見えるといったことが多く、患者さん本人は大変リアルに見えているようです。
ちなみに、幻視や図形の模写ができなくなるのは、目で見たものを感じる脳の部分(後頭葉というところ)が障害され、うまく物の形が捉えられなくなることが原因と言われています。
脳血流検査では、後頭葉の血流が悪いというのが特徴的です(色のついているところが血流低下部位)。
レビー小体型認知症は、パーキンソン病とほとんど同じ病気であると考えられています。
そのため、進行すると、手のふるえや歩きにくさ等といったパーキンソン病と同じ症状が出現します。
また、パーキンソン病でよくみられる自律神経の障害も出現するため、便秘や立ち眩みといった症状が出現しやすくなります。
こういった症状が出現した時には、パーキンソン病治療薬を使って症状を緩和する必要があります。
そして、アルツハイマー病に比べ進行が早いことが多く、体の動きも悪くなりやすいため、転んだり、食べ物がむせて肺炎になる(誤嚥性肺炎)ことも多く、より一層注意が必要な病気であるといえます。
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