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2015年4月29日 (水)

認知症の検査② 神経心理検査

今回は、神経心理検査のうちMMSEについて解説します。

MMSEとは、Mini Mental State Examination の略で、長谷川式と並んで、認知症を調べるのに大変よく用いられます。

項目は以下の通りとなります。
_____________________________

・日時(各1点):時間の見当識を評価
  今年は何年ですか。
    いまの季節は何ですか。
    今日は何曜日ですか。
    今日は何月ですか。
  今日は何日ですか。

・現在地(各1点):場所の見当識を評価
    ここは何県ですか。
    ここは何市ですか。
    ここは何病院ですか。
    ここは何階ですか。
    ここは何地方ですか。

・記憶(各1点):作業記憶(ワーキングメモリー)に関係
    相互に無関係な物品名を3個聞かせ、復唱させる。
  例えば ①さくら ②ねこ ③電車
  すべて言えなければ6回まで繰り返す。

・計算(各1点)
  100から順に7を引く。5回繰り返す。
  正解は 93→86→79→72→65

・遅延再生(各1点):近時記憶(少し前のことを覚えておく能力)
    記憶してもらった単語を復唱させる。
  ①さくら ②ねこ ③電車

・物品呼称(各1点):健忘失語などでできなくなる。
  時計と鉛筆を見せて、物の名前を答えさせる。

・復唱(1点)
  次の文章を繰り返す。1回のみ行う。
  「みんなで、力を合わせて綱を引きます」    

・言語理解(各1点)
  次の3つの命令を口頭で伝え、すべて聞き終わってから行ってもらう。
  ①「右手にこの紙を持ってください」
  ②「それを半分に折りたたんでください」
  ③「机の上に置いてください」    

・文章理解(1点)
    次の文章を読んで実行してもらう。
  「眼を閉じなさい」    
   
・文章構成(1点)
  短い文章を書いてもらう(自発的なものに限る。誤字脱字は構わない)。

・図形描写(1点)
  重なり合う5角形を書いてもらう。

Pentagon
_____________________________


30点満点となります。
23点以下を認知症とするという基準がありますが、実際には点数で認知症かどうかを判断するのは適切ではないと考えられます。
例えば、40歳の方であれば、29点から30点取れていないとちょっと心配になりますし、85歳であれば27点くらいでも正常範囲とも考えられます。
23点以下であれば、確かに認知症と考えられますが、24点以上でも正常とは言い難く、日常生活への影響などを考慮して判断する必要があります


アルツハイマー病では、日付(時間の見当識)と遅延再生(近似記憶)が早期から強く障害されます。
とくに、遅延再生は海馬といわれる脳の一部と強い関連があり、アルツハイマー病によって海馬が萎縮し、機能低下を来たすと遅延再生ができなくなるのです。
遅延再生について、最初は3つのうち1つ2つ思い出せないというところから始まりますが、進行すると、覚えてもらったこと自体を忘れてしまいます(エピソード記憶の欠落)。こういった症状が出た場合には、より強くアルツハイマー病を疑います。

レビー小体型認知症では、遅延再生は比較的保たれますが、図形描写が障害されます
これは、脳の後頭葉という、視覚中枢(物を見る能力の中枢)が障害され、正確に図形が捉えられなくなることによるものです。
ですから、脳血流シンチグラフィ(SPECT)を行うと、レビー小体型認知症の患者さんでは後頭葉の血流が低下しているのです(参照)。


このように、MMSEは合計点数よりも、どこが出来なかったかを評価することで、認知症のタイプを大まかに調べることができます。


http://kumeiin.jp/

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