認知症の検査
今回は、認知症の検査についてご説明します。
病院や患者さんの状態によって行う検査に違いがありますのでご注意ください。
・血液検査:甲状腺やビタミン欠乏、生活習慣病が隠れていないかチェックします。
・神経心理検査:Mini Mental State Examination(MMSE)や長谷川式といったもの忘れの検査を行います。さらに詳しく調べるときには、Alzheimer's Disease Assessment Scale-cognitive subscale(ADAS-cog)やウエクスラー記憶検査(WMS-R)といった複雑で時間のかかる検査を行うことがあります。Geriatric Depression Scale(GDS)などのうつ病検査も併せて行うことがあります。
・頭部MRI:脳の形の異常を調べます。アルツハイマー病では海馬の萎縮がみられます。また、かなり微小な脳梗塞も見つけることができます。併せてMRAという脳血管の検査を行うこともあります。この検査では、脳に詰まりそうな血管がないか、また、動脈瘤がないかが分かります。閉所恐怖症、じっとしていられない患者さん、体内に金属やペースメーカがある、また、磁石付の特殊な入れ歯などがあるとできないことがあります。その時は頭部CTで代用します。
・VSRAD(ぶいえすらど):頭部MRIの結果をコンピューター解析して、海馬がどのくらい萎縮しているかを調べる検査です。萎縮の度合いが数値化されます。
・脳血流シンチグラフィ:ECD-SPECT(いーしーでぃーすぺくと) や IMP-SPECT(あいえむぴーすぺくと) と呼ばれる脳の血流を調べる検査です。MRIと違い、脳の機能を評価することができます。アルツハイマー病やレビー小体型認知症では、それぞれ特有の場所の血流低下がみられます。
・MIBG心筋シンチグラフィ:レビー小体型認知症が疑われるときに行う検査です。心臓の交感神経の働きをみる検査ですが、レビー小体型認知症患者さんでは、この検査で異常が見つかることが大変多いです。
・心電図:アルツハイマー病やレビー小体型認知症の治療薬は時として脈を遅くする可能性があるため、あらかじめ心電図をとっておきます。
多くの病院で、血液検査や心電図などを除き、予約検査になります。
一つ一つの検査にある程度の時間がかかるため、何日かに分けて検査を行うことになります。
これらの検査を行うことによって、どんなタイプの認知症なのかを見極め、治療につなげていきます。
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