認知症の問題行動対策 ②対応編
認知症の問題行動対策として、薬物治療以上に重要なのが、「上手な対応」です。
これ無くして、問題行動の改善は期待できません。
「昔より怒りっぽくなった」ので、薬を使ってほしいという方が結構います。
でも、よくよく話を聞くと、患者さんが忘れたり失敗したりすると、介護者がそのたびに注意して、結局口論になるというのが真相でした。
認知症とは、「病気の進行によって、昔できていたことができなくなる」という特徴があります。
・病気の進行によって→患者さんのせいではない
・昔できていたことができなくなる→注意しても昔と同じようにはできない
ということです。
患者さん自身、「何かがおかしい」ということに気がついていますが、どうしたら良いのかわかりません。混乱の中にいるのです。
そのため、強い焦りや不安、恐怖といった負の感情にとりつかれやすい状態になっています。
ここに、介護者からの「なんでできないの?」「この前も注意したのに!」という言葉が浴びせられると、反動で攻撃的になってしまいます。
また、怒られたというエピソードは忘れてしまうのですが、イライラした感情は持続するので、その後の行動にも影響します。
患者さんは、失敗しないように気を付けることが非常に難しく、失敗を教訓にすることも困難です。
ですから、介護者は
・怒らない
・注意しない
・けなさない
ようにしてあげる必要があります。
最初は介護者の忍耐が必要ですが、そこを超えると win-win の関係になれるかもしれません。
患者さん自身、物事がうまくいかなくなっていることに苦しんでいます。
「出来なかったことを注意する」→「出来たことを褒める」という発想の転換も大切です。
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