« 入院すると認知症が悪化する(2017年11月28日改訂) | トップページ | 薬はできる限り1日1回 »

2015年5月23日 (土)

抗精神病薬の危険性

認知症によって出現する、妄想・暴言などの問題行動に対して、抗精神病薬と言われるタイプの薬を用いることがあります。

本来、この薬は統合失調症という精神疾患のための薬で、強い鎮静効果があるのが特徴です。

ですから、認知症で暴れてしまう患者さんに抗精神病薬を用いるとおとなしくなります。

量を増やしていくと効果は強くなり、ぐったりしてしまったり、一日中寝てしまうくらいの鎮静をかけることもできます。

とくに、レビー小体型認知症(DLB)の患者さんでは、効果が強く現れる傾向があります。


抗精神病薬には、古くから使われている定型抗精神病薬(セレネースなど)と新しく誕生した非定型抗精神病薬(リスパダール、セロクエル、エビリファイ、
ジプレキサなど)というものがあります。

定型抗精神病薬は、鎮静作用が強い反面、体の動きや認知機能なども悪化するいう副作用が強く、投与によって死亡率も上昇するという報告もありました。

これらの副作用を改善すべく誕生したのが非定型抗精神病薬でした。


しかし、2005年にアメリカのFDA(日本でいう厚生労働省)が、高齢者の認知症による問題行動に対して非定型抗精神病薬の投与したところ、死亡率が高くなったから注意せよという発表をしました(1.7倍程度に上昇したとのこと)。

確かに定型抗精神病薬よりは安全ですが、非定型抗精神病薬も危険な薬だったわけです。


では、認知症に対する問題行動に対して非定型抗精神病薬の投与を一切しないで良いかというと、現実的には難しいわけです。ですから、より一層、慎重に投与するということになりました。

その影響か、日本で行われたJ-CATIAという研究の中間報告では、定型・非定型抗精神病薬ともに、死亡率を高めないという結果が得られています。


抗精神病薬は、他の薬に代えがたい効果がありますが、両刃の剣であるため、ごく少量から投与を開始し、徐々に増量、必要最小限の量にとどめるべきと考えています。



http://kumeiin.jp/

« 入院すると認知症が悪化する(2017年11月28日改訂) | トップページ | 薬はできる限り1日1回 »

BPSD(問題行動)」カテゴリの記事

認知症」カテゴリの記事

認知症の治療」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/600984/61631956

この記事へのトラックバック一覧です: 抗精神病薬の危険性:

« 入院すると認知症が悪化する(2017年11月28日改訂) | トップページ | 薬はできる限り1日1回 »

最近の写真