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2015年5月12日 (火)

認知症の問題行動対策 ①薬物編

問題行動(周辺症状)の説明についてはこちら。

認知症で病院にいらっしゃる患者さんは、大きく分けて二通りです。

ひとつは、物忘れそのものを心配して来院する場合。

もう一つは、問題行動(周辺症状、BPSD)に困っている場合。

大学病院などの大きな病院には、物忘れそのものを心配して来院する場合が多いように思いますが、診療所になると、問題行動でこまってしまったという場合が多くなります。


問題行動への対策としては

①薬を使った方法
②薬を使わない方法


があります。

今回は ①薬を使った方法 について解説します。


問題行動に対して使える薬として

①漢方薬
②メマンチン
③抗精神病薬
④抗てんかん薬


などがあげられます。

それぞれについて、大まかな特徴を書きます。

①漢方
抑肝散がもっともよく使われています。ほかに、柴胡加竜骨牡蛎湯なんていうのも稀につかわれますが、これは漢方に詳しくないと、なかなか使わないかもしれません。
副作用は少ないのですが、効果も強くはありません。
たまにすごく効くことがありますが、全体としてはマイルドな印象です。

②メマンチン
メマリーという名前の薬です。
これはアルツハイマー病のくすりで、認知機能が低下しないようにするという目的でつかわれますが、同時に問題行動も軽減するというものです。
問題行動がある患者さんには、アリセプトではなく、メマリーを投与すると、症状が緩和できることがあります。
めまいの副作用がありますが、効果は漢方より強いと思います。

③抗精神病薬
これは、本来統合失調症(精神分裂病と言われていたもの)の薬です。
古くから使われている抗精神病薬(ハロペリドール/セレネースなど)と、非定型向精神病薬(リスぺりドン/リスパダール、クエチアピン/セロクエルなど)がありますが、実際には非定型向精神病薬が主につかわれます。
これらの薬は、強力な鎮静作用があるため、症状が強い場合に用いることがあります。
しかし、鎮静効果が強すぎたり、体の動きがわるくなったり(パーキンソン病のような症状)、糖尿病患者さんに使いにくかったりという問題があります。
ですから、他の薬でどうしても症状が抑えられない時に、慎重に副作用を確認しながら、少量ずつ投与する必要のある薬です。
また、レビー小体病の患者さんでは、特に体の動きが悪くなったり、意識が悪くなるなどの副作用が出やすいため、投与を避けるか、最大限に注意して投与する必要があります。

④抗てんかん薬
抗てんかん薬には気分を安定化させる作用があるものがあります(躁うつ病の治療薬として利用)。
この作用に期待して、バルプロ酸(デパケン)などを用いることがあります。
このくすりも、当たりはずれがある印象ですが、抗精神病薬と比較するとかなりマイルドです。
副作用は薬によってかなりことなりますが、多くの抗てんかん薬で、薬の濃度(体内の量)を測ったりするための定期的な血液検査が必要となります。


問題行動の程度にもよりますが、まずはメマンチンや漢方を使ってみて、改善しなければ抗精神病薬や抗てんかん薬をつかっていくという流れになります。

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