高血圧と認知症
高齢者の認知症は、いくつかの原因によって引き起こされていることが多いのですが、その中でも脳梗塞は大変重要な要素を占めています。
脳梗塞によって引き起こされる認知症を脳血管性認知症といいます。
脳梗塞には。麻痺を伴う大々的なものと、明らかな麻痺はないけれどじわじわ進行するもの(ビンスワンガータイプ)などがあります。
どちらでも認知症を起こしますが、じわじわ進行するタイプは一見アルツハイマー病に良く似ています。
また、高齢者の場合、脳血管性認知症はアルツハイマー病とも合併しやすく、高齢者の認知症=アルツハイマー病+脳血管性認知症 となっていることも珍しくありません。
脳血管性認知症の原因となる脳梗塞は、長年にわたる血管へのダメージが原因と考えられています。
血管にダメージを与えるものはたくさんあり、例えば喫煙・高血圧・糖尿病・コレステロール異常などがあげられます。
その中でも高血圧はもっとも大きな原因と考えられています。
ですが、高血圧は現在、多種多様の薬があり、生活習慣の改善と薬物治療で血圧のコントロールは非常に行いやすくなっています。
血圧をしっかり管理することによって、将来認知症になる危険性を減らせると考えられています。
また、認知症患者さんに合併する高血圧を放置しておくと、認知機能の悪化が早くなるとも言われています。
ですから、高血圧は、脳梗塞や心筋梗塞だけではなく、認知症予防のためにも、若いうちからきちんと治療を行う必要があります。
血圧治療は年を取ってからも有効ですが、蓄積されたダメージが問題となるため、ダメージの少ない若いうちからきちんと治療を行うほうが効果が見込め、そうすることによって、将来認知症になり難くなると考えられます。
健康診断で血圧(やコレステロール・糖尿病)に異常のあった方、決して放置しないでくださいね。
血圧の基準はこちらを参照してください(高血圧学会)
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