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2021年6月10日 (木)

新型コロナウイルスワクチン接種のQ&A

新型コロナウイルスワクチンについて、皆様からの、よくある質問について当院のアレルギー専門医がお答えします。

 

Q) 接種するワクチンはどのワクチンか?

A) 当院では、ファイザー社のワクチン「コミナティ」を使用します(今後、変更となる可能性がございます)。

今後、他のワクチンも使用する可能性はありますので、気にされる方は事前にお問合せください。

 

Q) 気管支喘息の治療をしているが、ワクチンを接種できるか?

A) 基本的には、接種可能です。

気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の方でも、コロナワクチンに対する重度の過敏症(アナフィラキシー等)の発症リスクは変わらないと、現時点では言われています。

ただし、喘息発作がでているときは、接種を延期したほうがよいと思います。

 

Q) ワクチンを打てないのは、どのような人か?

A) 接種当日に熱があったり、体調が悪かったりする時は接種を延期してください。

1回目のワクチンで重度の過敏症を起こした方は、2回目の接種をうけられません。

 また、「コロナワクチンの成分*」に対して、重度の過敏症のある方は接種することができません。

 

Q)  ③にある「コロナワクチンの成分*」に対する過敏症とは具体的には何ですか?

A) コロナワクチンで過敏症をきたす可能性がある成分として、

ポリエチレングリコール(PEG)が指摘されています。

また、PEGと似た構造をもっているポリソルベートを含む薬剤に対して過敏症のある方も注意が必要です。

 その他にも、不特定多数の医薬品でアナフィラキシーを起こしたことがある、

原因不明のアナフィラキシーを起こしたことがあるという方は、特に注意が必要です。

 

Q)  ポリエチレングリコール(PEG)とは何ですか?

A) PEGは、食品、化粧品、医薬品に広く使用されており、コロナワクチンが十分に効果を発揮するためにも重要な物質です。

ファイザー社とモデルナ社のワクチンは、「mRNAワクチン」と呼ばれますが、「mRNA」は壊れやすく、それをつつむ脂質膜の安定のためにPEGが使用されます。

ところが、このPEGが、ごく一部の方に過敏症を引き起こしてしまうかもしれないと考えられています。

 ちなみに、コロナワクチンによるアナフィラキシーが男性より女性に多いことから、日頃使用している化粧品による「感作」の影響も考えられています。

 しかし、新しいワクチンなので、重度の過敏症(アナフィラキシー等)がおこる明確な機序はわかっていません。

 現状では、十分な問診と接種後の観察が、主な対策とされており、私たちもそれらを丁寧に行ってまいります。

 

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久米医院の呼吸器外来に通院されている気管支喘息の患者様からは、

「アレルギーがあるので集団接種にいくのは不安・・」

という声を多くいただいています。

 

地域の皆様のホームドクターとして、

【いつもの診察室で、馴染みのスタッフによって】

安心して初めてのワクチン接種をうけていただけるように準備を整えております。

 

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*64歳以下の方については、府中市から接種時期の案内がありましたら、

予約を開始しますので、少々お待ちください。

 

医療法人社団 久米医院

written by SS

2021年6月 8日 (火)

アルツハイマー病の新薬アデュカヌマブ

2021年6月8日に、アルツハイマー病の新薬であるアデュカヌマブがアメリカFDAの承認を得ました。

従来のアルツハイマー病治療薬(ドネペジルなど)は、神経細胞の脱落によって減少した脳内神経伝達物質であるアセチルコリンを増やすことによって、減少した神経伝達を回復させるというものでありましたが、新薬であるアデュカヌマブはアルツハイマー病の原因物質と考えらえるアミロイドβを除去することによって神経細胞の脱落そのものを抑制し、認知機能の維持を目指すものです。

この作用から、アデュカヌマブはアルツハイマー病に進行すると考えられる軽度認知障害や、初期のアルツハイマー病の時期から投与しないと効果が期待できないと考えられます。よって、より一層、軽度の状態で診断していく必要があります。MMSEや長谷川式では反映されない程度のきわめて初期から治療開始する必要があるかもしれません(私見ですが、長谷川式でしばしば用いられる20点以下という認知症の基準では十分早いとは言えないと考えています)。

高齢者のアルツハイマー病においては、純粋なアルツハイマー病はあまり多くなく、血管性認知症やそのほかの要因が複合していることが多いため、アデュカヌマブの効果は十分に得られない可能性があります。

もう一つ、アミロイドβがアルツハイマー病と関連している事は間違いないと考えられていますが、アミロイドβが神経を損傷させる原因物質かどうかは定かではないということです。これについては、アデュカヌマブが広く用いられ始めたときに、その効果がどの程度得られるのかである程度判断できるのではと思います。

いろいろと書きましたが、待望の新薬ですので、私もその効果に期待しています。今後発表されるであろう論文を追跡していきたいと思います。

 

医療法人社団 久米医院

http://kumeiin.jp/

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