2017年11月27日 (月)

寝言、寝ているときに大騒ぎするのはレム睡眠行動異常症かも

レム睡眠行動異常症(RBD)という言葉をご存知でしょうか。

まず、レム睡眠の説明をします。

眠りには、夢を見ているときとそうでないときの2種類があります。

夢を見ているときの眠りのことを、レム睡眠といいます(Rapid Eye Movement sleep)
この頭文字をとってREM睡眠といいます。

レム睡眠の間、目を閉じているにもかかわらず、夢を見て、眼球が激しく動きます。
しかし、体の筋肉は弛緩しているので、動きません。

夢を見て、体が勝手に動かないようにするために、筋肉を弛緩させるメカニズムがあるのですが、これが障害されてしまうと、寝言を言ったり大騒ぎをしてしまう、レム睡眠行動異常症になります。

  • 寝言がおおい
  • 寝ているときに手足が激しく動く
  • 寝ている間にケガをしたり、隣に寝ている人にケガをさせる
  • 夢の中の出来事と同じ動作をする

こういった症状があるときは、レム睡眠行動異常症である可能性があります。

症状が出ているうちに起こすと、行動と一致した夢を見ているので、そういったことがあれば診断につながりやすくなります。

夢ですが、あまり良い内容の夢ではないことが多い印象です。


以下の疾患ではレム睡眠行動異常症が先行して起こることが知られています。

  • レビー小体型認知症
  • パーキンソン病
  • 多系統萎縮症

これらの神経変性疾患では、脳幹にある筋肉を弛緩させるメカニズムが破綻してしまいます。

レム睡眠行動異常症は、クロナゼパムやパーキンソン病治療薬などによって、比較的よく症状が緩和できます。

もし、夜中に騒ぐ、暴力をふるうなどの症状があれば、一度神経内科などに受診してみるとよいでしょう。

2017年11月20日 (月)

当院での物忘れ外来受診の流れ

当院では、水曜日の午後に物忘れ外来を行っています

当院における受診の流れをご説明します。



電話(042-335-1515)で予約をお願いします。


かかりつけ医からの紹介状(なければ薬手帳など)をご用意ください。


初回診察時は、予約時間の30分前にご来院ください。


初回診察では、問診、心理検査、血液検査、心電図、胸部レントゲンを行います。


頭部MRI または CT は、検査病院にて行います。
初回診察時に、当院から検査病院へ予約を行います。
送迎付きの検査病院をご紹介することも可能です
(遠方の場合は対象外となる地域もあります)。


検査後、1~4週間で結果説明となります。


その後は、症状に合わせておおむね1か月ごとの診察となります。




こちらも併せてお読みいただければ、参考になるかと思います。

2015年6月18日 (木)

シロスタゾール(プレタール)はアルツハイマー病を防げるか?

シロスタゾールという薬がアルツハイマー病の進行を抑制できるかもしれないという報告があります。

 

シロスタゾールは、もともと脳梗塞などの血管が詰まることによって起こる病気の予防薬です。

 

くすりの働くメカニズムは全く異なりますが、アスピリン(バイアスピリン)やクロピドグレル(プラビックス)などと使う目的は大体同じです。

 

では、なぜシロスタゾールがアルツハイマー病に効くかもしれないといわれているか。

 

シロスタゾールはアルツハイマー病の原因と考えられているアミロイドベータ(Aβ)という蛋白の蓄積を防ぐ効果が、動物実験で示されていることがあげられます。

 

また、シロスタゾールを投与したアルツハイマー病患者の認知機能が、投与しなかった患者より低下しにくかったという報告もあります(Ihara M, Nishino M, Taguchi A et al.:Cilostazol add-on therapy in patients with mild dementia receiving donepezil: a retrospective study. PLoS One. 2014 Feb 26;9(2):e89516.)

 

では、どのくらい効くのか?

 

論文によると、MMSEが22~26点の軽いアルツハイマー病の患者さんにとっては、かなり効果的(80%進行を抑制)となっています。

 

しかし、21点以下では、効果は乏しかったとのことです(有効性を証明できていません)。

 

ただ、ちょっと気になるのが、この研究は、アルツハイマー病の患者さんを、ドネペジル(アリセプト)単独か、シロスタゾール併用の二つのグループに分けて追跡したわけではなく、振り返ってみたら、そうであったという研究だという点です。

 

ですから、もしかしたらシロスタゾールを使った理由が別にあって、その理由によって進行が遅くなった(シロスタゾールが効いたわけではない)ということもあり得るのです。

 

たとえば、シロスタゾール併用群は、実は脳梗塞合併の混合性認知症で、シロスタゾールによって脳梗塞の再発が抑えられたために、結果として認知機能が維持されたということも考えられます。

 

今後、さらなる研究が行われれば、本当にシロスタゾールがアルツハイマー病に効果があるのかがはっきりすると考えられます。

2015年6月12日 (金)

高脂血症治療薬(スタチン)は認知症に効くか?

スタチンという薬は、高脂血症(コレステロール異常症)にもっとも良く使われています。

古くはメバロチンから始まり、リピトール、クレストール、リバロなどの強力なものが現在主流となっています。

これらのスタチンという薬は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を強力に下げることができ、動脈硬化の抑制に効果的であることが分かっています。


最近、スタチンが認知症にも効果があるかもしれないといわれており、研究がおこなわれています。


現在までのところ、アルツハイマー病に対して進行抑制の効果が認められたという報告もありますが、最近ではスタチンはアルツハイマー病の進行抑制には役立たないのではと言われています(はっきりとした決着はついていません)。

しかし、動脈硬化のなれの果てである脳梗塞によって引き起こされる脳血管性認知症では、スタチンの投与によって発症や進行抑制効果が期待できると考えられます。


高齢者の認知症の多くは、純粋なアルツハイマー病ではなく、脳血管性認知症の要素が多分にあるため、スタチンを投与してLDLコレステロールをきちんと下げておくことは、認知機能の温存につながる可能性があると考えられます。


認知症の進行抑制のためには、アリセプトなどを内服するだけでなく、高脂血症などの生活習慣病の管理も大切というわけです。

2015年5月29日 (金)

認知症の早期発見の重要性

認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の状態から、認知症薬で治療した方がいいのか、しなくていいのかについては賛否両論あり、結論は出ていないと思いますが、認知症が悪化してから治療を行うより、初期から治療を行った方がいいということについて反対の意見を持つ方は少ないと思います。

では、なぜ早期から治療を行った方が良いのでしょうか。


以前もお出ししたスライドですが、ご参照ください。

01
現在、認知症の最も原因となっているアルツハイマー病の治療は、いずれも進行速度を緩やかにする効果しか認められていません。

悪くなった認知機能を回復させることができないのです。

ということは、悪くなる前から治療を行った方が、より良い状態を長く維持できると考えられるわけです。


また、アルツハイマー病は高血圧によって悪化する速度が速くなることがわかっています。

これらのことを考えると、早期から治療を行い、認知症薬の投与や高血圧などの合併症治療を行うことによって、より良い状態を長く維持できる可能性があります。


ですから、アルツハイマー病は早期発見し、早期治療を行うべきだと考えています。


また、アルツハイマー病以外の認知症についても同様と考えられます。

さらに、ビタミン欠乏や甲状腺機能低下症由来の認知機能低下については、回復させることができるかもしれませんので、物忘れが出現したら早い段階で一度受診を行った方がよいと考えられます。



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2015年5月23日 (土)

抗精神病薬の危険性

認知症によって出現する、妄想・暴言などの問題行動に対して、抗精神病薬と言われるタイプの薬を用いることがあります。

本来、この薬は統合失調症という精神疾患のための薬で、強い鎮静効果があるのが特徴です。

ですから、認知症で暴れてしまう患者さんに抗精神病薬を用いるとおとなしくなります。

量を増やしていくと効果は強くなり、ぐったりしてしまったり、一日中寝てしまうくらいの鎮静をかけることもできます。

とくに、レビー小体型認知症(DLB)の患者さんでは、効果が強く現れる傾向があります。


抗精神病薬には、古くから使われている定型抗精神病薬(セレネースなど)と新しく誕生した非定型抗精神病薬(リスパダール、セロクエル、エビリファイ、
ジプレキサなど)というものがあります。

定型抗精神病薬は、鎮静作用が強い反面、体の動きや認知機能なども悪化するいう副作用が強く、投与によって死亡率も上昇するという報告もありました。

これらの副作用を改善すべく誕生したのが非定型抗精神病薬でした。


しかし、2005年にアメリカのFDA(日本でいう厚生労働省)が、高齢者の認知症による問題行動に対して非定型抗精神病薬の投与したところ、死亡率が高くなったから注意せよという発表をしました(1.7倍程度に上昇したとのこと)。

確かに定型抗精神病薬よりは安全ですが、非定型抗精神病薬も危険な薬だったわけです。


では、認知症に対する問題行動に対して非定型抗精神病薬の投与を一切しないで良いかというと、現実的には難しいわけです。ですから、より一層、慎重に投与するということになりました。

その影響か、日本で行われたJ-CATIAという研究の中間報告では、定型・非定型抗精神病薬ともに、死亡率を高めないという結果が得られています。


抗精神病薬は、他の薬に代えがたい効果がありますが、両刃の剣であるため、ごく少量から投与を開始し、徐々に増量、必要最小限の量にとどめるべきと考えています。



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2015年5月 4日 (月)

ビタミンEとアルツハイマー病

抗酸化さようのあるビタミンEが認知症を予防できるかもと期待されています。

では、その実力はいかに?!

認知症の最も多い原因となっているアルツハイマー病について、ビタミンEが効くのかどうか調べてみました。

  

『Effect of Vitamin E and Memantine on Functional Decline in Alzheimer DiseaseThe TEAM-AD VA Cooperative Randomized Trial』

 

JAMA. 2014;311(1):33-44. doi:10.1001/jama.2013.282834.

 

によると、凄く効くわけではないようですが、ある程度効果があるかもしれないという感じです。

 

ビタミンEを1日2000 IU摂取すると、摂取しなかった人たちと比べて「日常生活動作」ができなくなる速度がゆっくりになったとのことです。

 

ただし、いくつかの注意点があります。

 

まず、基本的にアリセプトなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤という、アルツハイマー病でもっとも良く使われる薬は投与されていました。

 

ですので、ビタミンE単独での治療というわけではありません。

 

また、ビタミンEを使ったグループと、使わなかったグループ、さらにメマリーとビタミンEを併用したグループについて検討されていますが、いずれも認知機能は低下していました。

 

ビタミンEを使ったグループと比較して使わなかったグループでは、日常生活動作の低下が少なかったということであって、低下はしていたのです。

 

もう一つ、今回低下が少なかったのは日常生活動作の部分で、いわゆる「もの忘れ」の部分での抑制効果は認められなかった様です。

 

アルツハイマー病にサプリメントとしてビタミンEを摂取するのは良いのかもしれませんが、それだけではなく、きちんと治療を行ったうえで、ビタミンEを追加する余地があるというものなのではないかと思います。

 


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2015年5月 3日 (日)

抑肝散について

最近、認知症関連の番組や記事が至る所に出ています。

そのなかに時々「抑肝散」という漢方薬を見かけます。

患者さんからも認知症に効く漢方があるでしょ?と聞かれることもしばしばあります。

では、この抑肝散は何物なのでしょうか。

認知症患者さんでは、しばしば周辺症状(BPSD)とよばれる困った症状が出現します。

たとえば、怒りっぽいとか、興奮したりなんていう症状です。

このBPSDを改善してくれるのが抑肝散です。

ちなみに、この抑肝散はもともと子供の夜泣きのための薬であったそうです。

ですから、BPSDのない患者さんには抑肝散を処方することはありません

漢方というと、本当に効くのか?と思われる方も少なくないと思います。

少なくとも抑肝散については、BPSDを改善したという研究結果が得られていますのでBPSDでお困りの患者さんには試す価値があると思います。

経験上、効果はマイルドなため、激しいBPSDに抑肝散だけで対応するのは難しいと思います。

また、血圧が上がったり足がむくむという副作用(偽性アルドステロン症)を起こすことがあるため、投与期間が長くなる場合、こういった点に気を付ける必要があります(芍薬甘草湯のほうがさらにこういった副作用が多い)。



まとめ

「抑肝散は、認知機能を維持する効果はないけれど、問題行動で困っている患者さんには有効。ただし、効果はマイルド。」

2015年5月 2日 (土)

認知症の薬② NMDA受容体拮抗薬

今回は、NMDA受容体拮抗薬のお話です。

この薬はアリセプトなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とならび、アルツハイマー病を治療するうえで大切な薬です。

脳内には、アセチルコリンのほかにグルタミン酸という物質も神経伝達物質として存在しています。

ただし、アセチルコリンと違って、グルタミン酸はアルツハイマー病になると増えすぎて、脳内にノイズを発生させます。

NMDA受容体拮抗薬は、直接グルタミン酸を減らすことはありませんが、グルタミン酸がうまく働かないようにして、脳内のノイズを下げる役割があります。

この、NMDA受容体拮抗薬は、メマンチン(メマリー)一種類しかありません。

薬の特徴ですが、アルツハイマー病で大騒ぎしやすくなった患者さんに投与すると、穏やかになる傾向があります。

おそらく、ノイズが減って、必要ない刺激が減るためではないかと思います。

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤が元気のない人を活発にするのとは対照的です。

この2種類の薬を使い分けたり併用することで、患者さん本人の認知機能の維持と、家族や介護者の負担軽減を図ります。

メマンチンを使っても興奮が止まない場合は、次の一手を繰り出すこととなりますが、その話は、また後日。

2015年5月 1日 (金)

認知症の薬① アセチルコリンエステラーゼ阻害剤

 認知症の治療薬は、日本において現在4種類存在します。

その治療薬は大きく2つに分類できます。

①アセチルコリンエステラーゼ阻害剤
②NMDA受容体拮抗薬

いずれも、認知症(アルツハイマー病)治療においてとても重要な薬です。

今回は、①についてご説明します。

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤には、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(イクセロン・リバスタッチ)が存在します。

アルツハイマー病では、脳の中に存在するアセチルコリンという物質が減少し、脳内の情報伝達がうまくいかなくなるという現象が起こっているため、アセチルコリンを分解する酵素を抑えれば、症状が改善するというものです。

このタイプの薬は、ぼーっとして元気がなくなるタイプの認知症患者さんに効きやすい傾向があります。逆に、興奮しやすい患者さんとの相性はいまいちです。

また、飲んでも物忘れが治るとか、改善するといった薬ではなく、進行抑制のための薬なので、目に見えて効果があるということは少ないです。効いてないと思って中断すると、急に物忘れがひどくなって、効いてたんだなと実感することもしばしばあります。

ですから、効果がないなと思っても途中でやめない方が良いでしょう。

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤には3種類の薬がありますが、いずれも効果の点で大きな違いはありません(細かい使い分けはあるにはありますが、さほど重要ではありません)。

使い方としては、ドネペジルは1日1回内服、ガランタミンは1日2回内服、リバスチグミンは貼り薬で、1日1回張り替えるようになります。

ドネペジルについては、錠剤のほかにゼリー剤もあります。飲みこみが悪い患者さんには良いかもしれません。
患者さんの状態や、生活スタイルに合った薬を最初に選ぶと良いと思います。

治療が長期化すると途中から効果が弱くなることがあります。そういった場合には、他のタイプのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤に変更することができます。

また、次回ご説明するNMDA受容体拮抗薬と併用できます。

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、おとなしい患者さんを元気にする作用がある反面、怒りっぽくなったり、落ち着かなくなることもあるので、患者さんの症状を診ながら投与するかどうか検討する必要があります。
また、飲み始めの時に、一時的にお腹が緩くなるなどの症状が出ることがあります。

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤を投与されて、副作用で困ったことがあったら、主治医に相談すると良いでしょう。

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