出版物のご案内
認知症の介護をされている方が、アマゾンから電子書籍を出版されました!
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BR8B8NXF
私(久米一誠)も、専門医として寄稿させていただいております。
1月28日(土)17:00~31日(火)16:59まで4日間無料キャンペーンが実施されておりますので、是非ご一読いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
認知症の介護をされている方が、アマゾンから電子書籍を出版されました!
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BR8B8NXF
私(久米一誠)も、専門医として寄稿させていただいております。
1月28日(土)17:00~31日(火)16:59まで4日間無料キャンペーンが実施されておりますので、是非ご一読いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
今回書く内容については、科学的な根拠はなく、個人的な印象によるものですのでご了承ください。
新型コロナの流行により、自主的にデイサービスをお休みしたり、施設内発症で休止したりといった理由で長期にデイサービス利用を中断された患者さんが散見されています。
デイサービス利用を中断された患者さんのうち、一部のご家族様から、「昼夜逆転」「歩行機能の低下」「意欲の低下」「認知機能低下の進行」などの悪影響が認められたという訴えがありました。
そのため、中には早々にデイサービスへの通所を再開された方もおられました。
日々、認知症を診療していると、デイサービスへ継続して通所することによる認知機能や身体機能への好影響を実感しておりますが、中断することによってその好影響が早期に失われてしまう可能性があると考えています。
繰り返しとなりますが、この話については、統計をとっておりませんので、個人的感想の域を出ません。
新型コロナの感染リスクとデイサービスへの通所について、ワクチン接種が行われるまでは、どちらが良いか個人個人で判断していただければと思います。
高齢になると、複数の病院に通院し、多くの薬を内服するようになることが、しばしばあります。
さらに、物忘れが気になり始めて物忘れ外来に通院するようになると、ご本人やご家族の負担が増大することとなります。
当院の認知症外来には、内科的な合併症を持った患者様が非常に多く、中には物忘れ自体はほとんどありませんが、複数の内科通院を一本化するために通院されている患者様もいらっしゃいます。
認知症は身体の状態が悪化すると、つられて悪化することもあります。また、入院すると急激に悪化することがあるため、認知機能の維持には良好な身体機能の維持は欠かせません。
すべての内科疾患に対応できるわけではありませんが、内科通院中で物忘れがある、または物忘れは大したことないけれど複数の病院に通院するのが大変という方は、一度当院の認知症外来(老年外来)にご相談ください。
少しでも、皆様の負担が軽減されるように頑張ります。
レム睡眠行動異常症(RBD)という言葉をご存知でしょうか。
当院では、水曜日の午後に物忘れ外来を行っています。
現在、日本においては、アルツハイマー病を含む認知症の患者数(絶対数)も認知症を発症する人の割合(有病率)も増加しており、国を挙げての対策が必要な状態となっています。
そんな中、アメリカでは認知症を発症する人の割合が減っているという報告が出ています。
(JAMA Intern Med. 2017;177(1):51-58.)
これによりますと、アメリカにおける65歳以上(21,000人以上が対象)の認知症の有病率は、2000年では11.6%であったが、2012年には8.8%まで大幅に減少したとされています(日本においては2012年時の有病率は15%程度)。
この数字が、どの程度正確であるかについて、疑問の余地がありますが、同様の報告もでてきていることから、少なくとも認知症の有病率は低下していると考えられます。
では、なぜ有病率が減少しているのでしょうか。
この研究では、教育期間の延長が認知症を予防しているのではないかと述べています。
日本においても、大学進学率はおおむね右肩上がりで、近年では50%を上回っています。これは50年前の約2倍の数値です。
ということは、将来的に日本においても認知症の有病率が低下する可能性があります。
ただし、日本の場合は非常に速い速度で高齢化が進行しているため、有病率が下がっても、認知症患者数は増加するのではないかと思います。
高学歴=認知症になりにくい
その反面
高学歴の人が認知症になると、進行が早い
ことも知られています。
(Neurology October 23, 2007 vol. 69 no. 17 1657-1664)
高学歴の人は脳内の変化(萎縮など)が進行しても、なかなか症状として現れない反面、いざ症状が出現したときは、脳内の変化がかなり進行した状態となっています。そのため、高学歴でない認知症患者さんと比較し、いざ発症してしまうと進行が早いのではないかと考えられます。
認知症患者さんを介護するときに、介護者を悩ますのが問題行動。
もの忘れだけの患者さんと、周辺症状を伴った患者さんの介護では、その大変さが全く異なります。
問題行動(行動心理症状やBPSDとも呼ばれる)には、暴力、暴言、徘徊、帰宅願望、怒りっぽいといった激しい症状から、うつ、拒食、不安といったものまであり、その対応方法は患者さん事に異なります。
問題行動の対応方法については、以前にもお書きしましたが、今回は、問題行動が出現した時に必ず確認しておきたいことをお伝えします。
問題行動は、患者さん自身に訴えたいことがあるけれど、それが上手く表現できないときに起こりやすい傾向があります。
ですから、問題行動が出現した場合には、身体や環境に異常が起こっていないか確認する必要があります。
・身体の異常
便秘、痛み、肺炎などの感染症などの異常が出現していることがあります。病院で異常がないか診てもらいましょう。
・薬の影響
新しく始めた薬や中断した薬がないか確認しましょう。
・不適切な環境
暑すぎたり、寒すぎたり、うるさすぎたりしていないか確認しましょう。
・不適切な介護
だます、できる事をさせない、子ども扱いをする、急がせる、無視する、無理強いをする、非難するなどの扱いをしていないか確認しましょう。
~対策~
・身体の異常や薬の影響
病院に相談しましょう。実際に、ある日を境に問題行動が出現した患者さんが、実は肺炎だったということもありましたし、新しく始めた薬をやめたら治まったということもありました。
・不適切な環境
室温の調節も大切ですが、模様替えや引っ越しを出来る限りしない、引っ越すときは、使い慣れた家具を持っていくというのも方法です。
・不適切な介護
介護の状態をもう一度振り返ってみてください。介護をしているあなたに問題がなくても、他の介護者に問題があるかもしれません。
介護者の負担軽減対策が必要になります。ケアマネージャーに相談しましょう。
風邪薬を飲むと、眠気がでたり、集中力がさがるといった経験のある方は少なくないと思います。
その状態で作業をすると、いつもよりミスが増えるのは当然ですね。
これが、高齢者であったらどうでしょうか。
認知機能に余裕のある高齢者であれば大丈夫かもしれませんが、そうでない場合は、日常生活でもミスが目立って、認知症になってしまったと思われるでしょう。
風邪薬や鼻水止めの成分には、抗ヒスタミン作用があるのですが、これが眠気の元となっています。
また、これらの薬には抗コリン作用というものもあり、これが認知機能を低下させる原因となります。
コリンというのは、脳内の神経伝達物質で、脳細胞が信号をやり取りするために必要な物質ですが、認知症では、コリンが減少しているといわれています。
主要なアルツハイマー病の治療薬(アリセプト、レミニール、イクセロン、リバスタッチ)は、脳内のコリンを増やすことによって認知機能を高めます。
しかし、抗コリン薬を飲むと、逆のことが起こり、認知機能が低下してしまいます。
また、抗コリン作用のある薬を飲み続けていると、認知症になりやすいという報告も出ています。
(Gray, SL. et al. 2015. Cumulative use of strong anticholinergics and incident dementia: a prospective cohort study. JAMA. 175(3):401-7.)
抗コリン作用のある薬は、以下のとおりです(リストは抗コリン作用のある薬の一部です)
高齢者でこれらの薬を内服している場合、本当に必要か、他の薬に変更できないか検討しても良いと思われます。
最近、高速道路の逆走事件をはじめ、高齢者が惹き起こす自動車交通事故が目立ちます。
その背景には、認知機能の低下が関与しており、認知症患者さんの運転については、制限すべきと考えられます。
では、どの程度であれば制限すべきなのでしょうか。
まず、認知症の薬を内服している方は、運転を控えるべきと考えてよいと思います。
厚生労働省もそのように通達していますし、薬の説明書きにも運転しないように記載されています。
アルツハイマー病やレビー小体型などの型を問わず、認知症と診断されている患者さんも運転を控えるべきです。
認知症があるにもかかわらず、運転を継続し事故を起こしたため、裁判となった例があります。
刑事事件では、運転していた患者に実刑が言い渡されたとのことです。
また、民事事件では認知症があるにもかかわらず運転を制止しなかった家族に、億単位の賠償請求が行われています。
では、軽度認知障害といわれる患者さんはどうでしょうか。
軽度認知障害とは、認知症とは言えないけれど、正常ともいえないグレーゾーンを指します。
これらの状態にある場合、直ちに運転をやめるべきかどうか、意見が分かれていますが、私としては、出来れば運転を控えていただきたいと思います。
というのも、運転は他と違い、事故を起こすと他人を巻き込む可能性があるからです。
軽度認知障害で絶対に運転してはいけないとはいいませんが、運転しないに越したことはありません。
特に、レビー小体型認知症が疑われる場合、幻覚が見えたり、ものが正しくとらえられないという特徴があるため、早期から運転すべきでないと考えられます。
また、前頭側頭型認知症が疑われる場合も、運転のルールを守ることが難しくなると考えられるため、早期から控えるべきと考えられます。
最近では、認知症を診察した医師が、任意で診察結果を都道府県の公安委員会に届け出る制度ができました。
届け出を行おうと、その患者さんは、臨時適性検査を受けるように公安委員会から通知されます。
まとめ
認知症と診断された、薬を処方された場合、運転してはいけません。
軽度認知症がの場合、ケースによりますが、運転を控えた方が望ましいでしょう。
レビー小体型や前頭側頭型認知症は、早期から運転を控えるべきと考えられます。
最近名前を耳にするようになったレビー小体型認知症。
認知症を起こす原因として2番目か3番目に多いとされています。
では、このレビー小体型認知症とはどんな病気なのでしょうか。
レビー小体型認知症の特徴は以下の通りです。
たとえば、こんな患者さんが典型的です。
75歳の男性。
1年前から軽い物忘れがあった様子。
半年前から部屋の隅に子供がいるという幻視(幻覚)が出現。
また、調子のいい時と悪いときの差が激しく、良いときは正常に近いけれど、悪いときはぐったりしていることもある。
気分がすぐれないことも多く、最近は便秘気味。
以前に比べると表情が乏しく(仮面様顔貌)、歩き方もぎこちない感じになってきている。
認知症なので、認知機能も障害され、物忘れが出現します。
しかし、アルツハイマー病と比べて少し前のことを覚えておく能力の低下は軽い傾向にあります。
そのかわり、計算が苦手になったり、図形の模写(MMSEの五角形の模写)が難しくなる傾向が強くなります。
幻視(幻覚)について、全く何もないところに物が見えるというよりは、暗くてよく見えないところにある影などが人や動物に見えるといったことが多く、患者さん本人は大変リアルに見えているようです。
ちなみに、幻視や図形の模写ができなくなるのは、目で見たものを感じる脳の部分(後頭葉というところ)が障害され、うまく物の形が捉えられなくなることが原因と言われています。
脳血流検査では、後頭葉の血流が悪いというのが特徴的です(色のついているところが血流低下部位)。
レビー小体型認知症は、パーキンソン病とほとんど同じ病気であると考えられています。
そのため、進行すると、手のふるえや歩きにくさ等といったパーキンソン病と同じ症状が出現します。
また、パーキンソン病でよくみられる自律神経の障害も出現するため、便秘や立ち眩みといった症状が出現しやすくなります。
こういった症状が出現した時には、パーキンソン病治療薬を使って症状を緩和する必要があります。
そして、アルツハイマー病に比べ進行が早いことが多く、体の動きも悪くなりやすいため、転んだり、食べ物がむせて肺炎になる(誤嚥性肺炎)ことも多く、より一層注意が必要な病気であるといえます。
最近のコメント