2020年5月19日 (火)

認知症と合併症

高齢になると、複数の病院に通院し、多くの薬を内服するようになることが、しばしばあります。

さらに、物忘れが気になり始めて物忘れ外来に通院するようになると、ご本人やご家族の負担が増大することとなります。

当院の認知症外来には、内科的な合併症を持った患者様が非常に多く、中には物忘れ自体はほとんどありませんが、複数の内科通院を一本化するために通院されている患者様もいらっしゃいます。

認知症は身体の状態が悪化すると、つられて悪化することもあります。また、入院すると急激に悪化することがあるため、認知機能の維持には良好な身体機能の維持は欠かせません。

すべての内科疾患に対応できるわけではありませんが、内科通院中で物忘れがある、または物忘れは大したことないけれど複数の病院に通院するのが大変という方は、一度当院の認知症外来(老年外来)にご相談ください。

少しでも、皆様の負担が軽減されるように頑張ります。

 

Cog

2017年11月27日 (月)

寝言、寝ているときに大騒ぎするのはレム睡眠行動異常症かも

レム睡眠行動異常症(RBD)という言葉をご存知でしょうか。

まず、レム睡眠の説明をします。

眠りには、夢を見ているときとそうでないときの2種類があります。

夢を見ているときの眠りのことを、レム睡眠といいます(Rapid Eye Movement sleep)
この頭文字をとってREM睡眠といいます。

レム睡眠の間、目を閉じているにもかかわらず、夢を見て、眼球が激しく動きます。
しかし、体の筋肉は弛緩しているので、動きません。

夢を見て、体が勝手に動かないようにするために、筋肉を弛緩させるメカニズムがあるのですが、これが障害されてしまうと、寝言を言ったり大騒ぎをしてしまう、レム睡眠行動異常症になります。

  • 寝言がおおい
  • 寝ているときに手足が激しく動く
  • 寝ている間にケガをしたり、隣に寝ている人にケガをさせる
  • 夢の中の出来事と同じ動作をする

こういった症状があるときは、レム睡眠行動異常症である可能性があります。

症状が出ているうちに起こすと、行動と一致した夢を見ているので、そういったことがあれば診断につながりやすくなります。

夢ですが、あまり良い内容の夢ではないことが多い印象です。


以下の疾患ではレム睡眠行動異常症が先行して起こることが知られています。

  • レビー小体型認知症
  • パーキンソン病
  • 多系統萎縮症

これらの神経変性疾患では、脳幹にある筋肉を弛緩させるメカニズムが破綻してしまいます。

レム睡眠行動異常症は、クロナゼパムやパーキンソン病治療薬などによって、比較的よく症状が緩和できます。

もし、夜中に騒ぐ、暴力をふるうなどの症状があれば、一度神経内科などに受診してみるとよいでしょう。

2015年9月24日 (木)

おとなしいせん妄にご注意を

せん妄というと、わけもわからず大騒ぎするという印象をお持ちの方も多いと思います。

実際、それは間違ってはいないのですが、逆におとなしくなってしまうせん妄もあります

せん妄についてはこちらも参照してください。


せん妄というのは、ひどく寝ぼけた状態に近いと思っていただければよいと思います。

多くは、入院することによって引き起こされ、大騒ぎをしたり、点滴を引き抜いたり、暴力的になったりすることが多いです。

しかし、なかにはボーっとして、反応が乏しくなったり、無気力になったりということもあります。


こういったおとなしいせん妄は、一見せん妄に見えないので、入院してずいぶんおとなしくなったなという程度にしか思われないことも多い様です。

しかし、そのまま放置しておくと、ご飯を食べなかったり、リハビリが上手くできなかったりと、やはり寝たきりの危険性が高くなります。

ですから、入院して、ずいぶんおとなしくなった、無口になった、気力がなくなったなんていうことがあったら、せん妄になっている可能性を考えてみてください。

2015年7月23日 (木)

熱中症にご注意

暑い日が続いていますね。

梅雨明けと同時に熱中症になる患者さんが急増します。

若い方の熱中症と違い、高齢者の熱中症は、半分以上が室内(家)で起こっているといわれています。


高齢者は、加齢による影響で暑さを感じにくいと言われています。

また、発汗する能力も低下しているため、若い人より熱中症にかかりやすくなっています。

喉の渇きも感じにくいため、脱水傾向になっていても水を飲まないこともあります。


さらに、認知症があると、これらの感覚の低下が著しく、さらに適切な服を選ぶこともできず、夏なのに厚着をしていることもあります。


熱中症対策として風通しを良くするというのがありますが、都市部では不十分な印象があります。

というのも、窓は開けていたけれど熱中症になったという患者さんは珍しくないからです。


電気代はかかりますが、エアコンの力を借りるのが現実的ではないかと思います。

室温は26~27度くらいでしょうか。


水分補給については、高齢者は喉が渇きにくいので、喉の渇きと関係なく定期的に飲むというのも方法です。


尿の色がいつもより濃ければすでに脱水傾向がありますから要注意です。

逆に薄ければ水のとりすぎになります。


時々、水のとりすぎによる低ナトリウム血症(体の塩が不足する)で意識障害やけいれんを起こすことがありますので、注意してください。


それに、お部屋に温度計と湿度計をおくことをお勧めします。

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